社会保険労務士金子幸嗣事務所

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【次世代のビジネス戦略】SBNRとは?音声配信で熱狂的なファンを作る仕組み

今回は、最近ビジネスの文脈で密かに注目を集めている「SBNR」という概念についてお話しします。

一見するとスピリチュアルな用語のように思えますが、実はポッドキャストなどの音声配信ビジネスと非常に相性が良いということをご存知でしょうか。なぜ音声メディアは熱狂的なファンを作りやすいのか。そのカラクリを、SBNRの視点からヒモ解いていきます。

SBNRとは?宗教の都合のいい部分だけを抽出する発想

SBNRという言葉があります。

「Spiritual but not religious」というフレーズのカシラ文字を取ったものです。本来は欧米で、特定の宗教組織には属さないが、精神的・スピリチュアルな成長を重んじる人々を指す社会学的な用語でした。しかし近年、これが巨大なマーケットとして注目されています。

意味するところは、宗教のメンドウな部分を、そぎ落として、スピリチュアルのみを抜き出してビジネスに活用してしまおうという発想です。

教義や戒律、お布施といった宗教特有のハードルを無くすことで、消費者は気軽に心の平穏や自己のアップデートを購入できるようになったのです。

なぜ日本でSBNR関連ビジネスが伸びるのか

特定の宗教を持たない日本人の多くは、スピリチュアルにはまりやすく、SBNR関連ビジネスが伸ばしやすいと言われています。

日本人は昔から、八百万の神々や自然への畏敬の念といったアニミズム的な精神性を、文化の土台に持っています。無宗教を自称しつつも、初詣やパワースポット巡りには喜んで足を運ぶという土壌があるため、SBNR的なアプローチが非常に浸透しやすい環境が整っているのです。

具体的には、ヨガや瞑想。サウナもSBNRに入ります。

本来、ヨガや瞑想は東洋の深い宗教的修行の一部でした。しかし、そこから宗教色を完全に漂白し、マインドフルネスという科学的・健康的なパッケージに包み直すことで、ビジネスパーソンを中心に大流行しました。また、サウナにおける「ととのう」という体験も、ある種の変性意識状態であり、現代人が手軽に得られる合法的なスピリチュアル体験として機能しています。

音声配信と「信者」の深い関係性

ポッドキャストなどの音声配信もSBNRのひとつです。

音声配信は、熱狂的なファンを作りやすいと言われるのが何よりの証拠です。

熱狂的なファンを言い換えると、「信者」と言っても過言ではありません。視覚情報がない音声というメディアは、リスナーの想像力を強く刺激します。イヤホンを通じて耳元で直接語りかけられる体験は、パーソナリティとの間に極めて親密でパーソナルな関係性を錯覚させます。この1対1の密室空間が深い共感と依存を生み出し、強固なコミュニティ、すなわち現代における教団の形成を促すのです。

実際、アメリカではラジオの黎明期に、キリスト教福音派が爆発的に信者を増やしました。

日本でも、宗教団体がラジオ放送番組をやっている事例は少なくありません。声の力を使って人々の心を動かし、信仰へと導く手法は、歴史が明確に証明しています。説法や説教といった宗教的儀式は、そもそも音声コンテンツの最古の形であり、もっとも効果的なフォーマットと言えるでしょう。

テレビが手放した領域をポッドキャストが担う時代へ

ほんの少し前まで、ゴールデンタイムにスピリチュアル系の番組がオンエアされていました。

今ではこのような番組は、コンプライアンス上、放映するのは不可能となってしまいました。科学的根拠に乏しい情報や、個人の精神の奥深くに介入するような表現に対し、マスメディアの自主規制は年々厳しさを増しています。テレビでは言えないことが増えた結果、人々はよりリアルで、フィルタリングされていない生の声を探して、別の場所へ移動し始めました。

地上波のテレビで放送できないコンテンツも、ポッドキャストなら配信可能なケースもあり得ます。

音声配信にSBNR的なノウハウを取り入れることができれば、熱狂的なファンを意図的に作り出すことも可能になるというわけです。

リスナーの心の隙間や精神的な成長欲求に寄り添い、共感を生むストーリーテリングを行う。そして、聴くことで日常のストレスから解放され、ある種のととのう体験を提供する。このメカニズムを意図的に設計できれば、ポッドキャストは単なる情報配信の枠を超え、現代人の新たな心の拠り所として機能するでしょう。それは結果として、盤石なビジネス基盤を構築することに直結するのです。

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