
昨今、新しいAIツールが登場するたびに、これを使えないと時代遅れになるといった強い言葉で人々の不安を煽り、最終的に高額な講座やワークショップへと誘導するような悪質な情報発信が散見されます。最近話題になったAIエージェントツールなどでも同様の現象が起きていますが、技術の進化の先を見据えれば、慌てて飛びついて学習する必要は全くありません。
なぜなら、AI技術の進化のスピードを考えれば、最初はとっつきにくく専門的な知識が必要なツールであっても、あっという間に誰もが自然言語で直感的に使える形へと民主化されてしまうからです。先行して特殊な使い方を学んだとしても、そこから得られる優位性や差別化はごくわずかな期間に過ぎません。
具体的な例として、つい先日まで特定の環境構築や複雑な操作が必要だともてはやされていた開発手法も、瞬く間に主要なプラットフォームに組み込まれました。現在では、ああして、こうしてと自然言語で指示を出すだけで誰でも簡単に実行できるようになっています。ツールが成熟し、使いやすくなってから手がけても全く遅くはないのです。
今後の大きな流れとして、AIによる業務の自動化がさらに進んでいくことは間違いありません。特に、マニュアル化できる定型業務や、手順を言語化できる事務作業などは、確実にAIに置き換わっていくでしょう。その波は確実にやってきますが、それは誰もが簡単に使えるツールとして普及するということでもあり、過度に恐れる必要はありません。
一方で、いくらAIが進化しても自動化できない領域が明確に存在します。それは、言語化できない暗黙知や、長年の経験に基づく勘やコツが働く非定型な業務です。AIはデータとして入力できる形式知しか処理できないため、人間の身体性や実体験に根ざした感覚を代替することはできません。
さらに本質的な違いとして、感情の領域が挙げられます。現在のAIはテキストや音声で表面的な感情表現を模倣することは得意になり、圧倒的な知識と論理で人を納得させることはできるかもしれません。しかし、人間特有の合理的ではない感情の発露や、理屈を超えた熱狂、狂乱といったものを自発的に生み出すことは不可能です。
人が真に心を動かされるのは、同じように傷つき悩む人間同士の共有から生まれる共感です。AIがいかに論理的な正解を提示できても、魂のレベルでの深い共感を作り出すことは極めて困難だと言えます。
結局のところ、これからの時代に人間にとって最も必要とされるのは、自分自身の感情をいかにコントロールできるか、そして他人の感情をいかに自分事として理解できるかという能力です。論理や知識の処理についてはAIとスマートにコラボレーションして効率化を図り、人間はより人間らしく感情や共感の力を磨いていくことこそが、これからの理想的な社会のあり方なのだと思います。
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